ディ フライラッセン
第一章    解き放たれた者


      パラケルススの足元で、黒変した破片が脆く崩れた。
      滑らした足の下に残る黒い筋が彼の判断の誤りを物語る。
      解き放たれた風が何処へ流れるか、アルケミーを極めた彼にも
      分かるわけではない。まだ掴み切れぬ因果の流れを風が運んでいく。
      何処へ、誰のもとへ…。
     

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