エーデルシュタイン
第五章    黒 い 宝 石


     「つぐみ横丁」に走り込んで来た人の姿をした椿事は、
     少年と少女の言葉で叫んだ

        「パルドゥーン!パルドゥーン!パルドゥーン!」

     浅い夜を楽しむ人々の間を縫い、駆け抜ける彼らの背後に迫る影は
     人々にとっても不粋かつ不愉快なものであった。
     そして、人々のとった行動は少年達に取って喜ばしいものだった。

        「ダンケシェーン!」

     お礼の言葉と笑顔を振りまいて脇道へと飛び込み、一息ついた
     翠美の足元で、亜麻色の瞳を持った「黒い宝石」が彼女を
     見上げていた。
     
          

[ 風の心 ] or NEXT STORYor GRAPHIC(挿し絵)



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