第十八章   妖精界開放(仮題)


     歪みが周囲の風を吸い込み、斬塵が封じられた世界に亀裂を作る。
     解き放たれる幻像(イリュージョン)の向こうで兵士の瞳が
     歓喜と狂気を乗せた眼光を放射する。『蜘蛛(シュピンネ)』の
     ディザーが穿つ空間の穴から、蠢く無数の虫の様に兵士が徘徊し軍靴が
     青い草を踏みつける。守りとなるはずの精は正邪を問わずただ流れた。
     連続する銃声が静寂を破り、小さな侏儒の身体を砕く。草の上に咲く
     無数の血泥の花に絶叫する望の風が、黒く、黒く染まる。
     
     

[ 風の心 ] or NEXT STORYor GRAPHIC(挿し絵)



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