ホムンクルス
第十一章   人造生命体


     わだかまりを残した桜紋をよそに、小さく爆ぜる炎の前で望とシアは
     言葉を通わせ始める。焚火の温もりと共に言葉以上に優しくたゆたう風に
     耐え切れず、桜紋は炎を離れた。後を追って夜の中に消える美月。
     湖の奏でる波音のワルツに乗せて始まる二人の会話。
     その波音の届かぬ望とシアの前に忽然と一人の男が姿を現す。
     輝きを従えた錬金術士の語る真実に、答えを探す望の目には
     シアの胸の宝珠の鮮やかな光彩さえ、あまりにも儚く写っていた。
     
     

[ 風の心 ] or NEXT STORYor GRAPHIC(挿し絵)



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